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「脱税は全国民に対する重大な不正行為」

2012/10/28所長雑感

 全国の国税局が2011事務年度に強制捜査(査察調査)で摘発した脱税総額は約192億円となり、33年ぶりに200億円を下回ることがわかりました。ここ数年の数字に比して処理件数も告発率も大きく下がったのですが、その理由は納税意識が上がったというものではありません。2008年のリーマンショック以降企業の利益水準が大きく減ってきた結果、大規模な脱税が減少したということです。脱税が減るのは素晴らしいことですが、その理由は決して喜べるモノではありません。
 業種別では前年まで数年間脱税トップを走っていた不動産業にかわり今回は建設業が最多脱税摘発業種となりました。2位以下は商品株式取引業、人材派遣業、食料品卸売業、情報提供サービス業と続きます。脱税摘発の多い業種というのは、やはりここ数年大きく利益を上げる環境にある業種が多く、同業他社についても当然調査対象に選定される確率が上がります。ご自分の会社は関係ないと思っていらっしゃる経営者の方も、同業他社が調査摘発されている場合には気を引き締めて業務に臨んで下さい。
 ちなみに今回脱税とされたケースの不正資金は、銀行の貸金庫、香港で開設した預金口座、自宅土蔵の床下、衣装ケース内などに現金・金・無記名割引債券などの形で保管されていたり、高級マンションや高級外車の購入あるいは海外カジノの遊興費として費消されていたそうです。ここならわからないだろうと思って隠してみても大抵ばれるものです。ごまかして隠すだけ無駄ですね。
 脱税は、被害の影響が非常に大きい罪です。と言いますのも、誰かが脱税をして不正に税金をごまかすと、その分減った税収はその他の国民への増税となって跳ね返ってきます。また不正が横行すると、正当に納める国民に不公平感が生まれ、国民の間に「納める方が損をしている」というモラルハザードが広がります。言ってみれば、日本国民全員に対する重大な不正行為が脱税なんです。
 確かに税金には、自分の稼いだお金を勝手にかすめ取られるようなイメージがあります。しかしながらこの税金は、学校教育や道路公園などの整備、警察や消防救急、ゴミ処理など社会のインフラのための様々なところで使われています。その使い方に疑問や無駄があるというのなら、それは政治的な問題として解決すべきで、国民が脱税をして良い道理にはなりません。
 子供達に正直者が馬鹿をみるような社会に住まわせない、国民みんながそんな気持ちをもって背筋を伸ばして納税をする、そんな国造りのための政治行政と環境整備が大切だと思います。http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120706/k10013399411000.html