

企業価値担保権
2026/05/22NEWS
企業価値担保権という言葉をご存じでしょうか。
企業価値担保権とは、令和8年5月に施行される新たな制度であり、従来の不動産や設備といった個別資産ではなく、企業の事業全体の価値を担保として融資を行う仕組みです。
これまでの融資は主に有形資産や経営者保証に依存していましたが、近年はデジタル化の進展により、技術やノウハウ、顧客基盤といった無形資産が企業価値の中心となるケースが増えています。
このような企業は担保となる資産が乏しく、資金調達が難しいという課題がありました。
本制度の導入により、こうした無形資産を持つ企業、特にスタートアップ企業においては、事業の将来性や収益力に基づいた資金調達が可能となり、成長投資の促進や経営者保証への依存低下が期待されます。
一方で、技術力やビジネスモデルといった無形資産の評価は容易ではなく、評価の過大・過小によるリスクが存在します。金融機関には高度な事業性評価能力と継続的なモニタリングが求められ、貸倒リスクの管理も重要となります。
実務上は、企業側においても精度の高い事業計画の策定や、将来キャッシュフローの根拠を明確に示すことが不可欠です。また、金融機関との継続的な情報共有や説明責任を果たすことが、円滑な資金調達につながります。
企業価値担保権は、金融のあり方を従来の「資産担保型」から「事業評価型」へと転換させる重要な制度であり、今後は財務情報だけでなく、事業の質や成長性を適切に説明できることが企業にとってますます重要になると考えられます。
社員税理士 前田哲志