自筆証書遺言書保管制度
2021/09/06NEWS / お知らせ
円滑な相続のためには、遺言書の活用もひとつの手段です。遺言書において、遺言者自身が自筆して財産の分配方法を決めるものを自筆証書遺言といい、これには立会人が不要で手軽に作成できるメリットがあります。その一方、遺言書を失くしたり、家庭裁判所の検認前に開封され、改ざんされるなどの問題が以前から指摘されていました。そこで、昨年の令和2年7月より、法務局で自筆証書遺言書を保管する制度が始まりました。
法務局で保管されると、遺言書の原本とデータは半永久的に保管されます。制度を利用するには、遺言者本人が手続きを行う必要があります。遺言者が亡くなった後、遺言書が保管されている旨の通知が死亡時通知人に届き、相続人が遺言書交付申請などの手続きを進めることになります。この制度では遺言書の検認は不要で、保管費用は1通につき3,900円です。
保管手続時には以下の書類が必要です。
・遺言者の身分書
・遺言者の住民票
・自筆証書遺言
・保管申請書
この制度の注意点としては、作成用紙がA4サイズであるなど、本制度で求められる遺言書の様式に留意が必要です。また、自筆証書遺言書の作成は、遺言者本人が自筆しなければいけません。保管時には本人確認・署名押印などの形式面の確認が行われますが、その内容面については、法務局HPでは「遺言書の内容に関するご相談には応じることはできません」と記されています。すなわち、法務局では、記載内容に一切関与しないため、必ずしも遺言書の適法性が担保されるものではありません。曖昧な表現や財産内容が不明確な場合には、いざ相続となった時にトラブルが発生するリスクがあります。
遺言書の作成時には、一度専門家に様式や内容の確認を依頼するか、公正証書遺言を検討することも必要です。
法務省 自筆証書遺言書保管制度 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html