令和5年度 税制改正大綱(資産税)
2023/01/30NEWS / お知らせ / 税務関係
資産の早期の世代間移転を促進する観点や資産の移転時期の中立性を図る目的から資産課税の見直しが行われました。そのうち実務上影響が大きなものをまとめました。
①相続時精算課税制度の利便性向上
年110万円の控除枠を創設
従来は、相続発生時までの課税の繰延べという側面が強く、精算課税制度を選択すれば暦年贈与の
110万円の基礎控除が利用できない等の理由から適用されるケースが限定的でした。今回の改正では、新たに年間110万円までの控除枠が精算課税選択時でも適用できるとする制度の拡充が行われることで、使い勝手がよくなるものと思われます。
適用時期
令和6年1月1日以降の相続時精算課税による贈与から適用
②暦年贈与による生前贈与加算の期間延長
相続発生時の加算期間が3年から7年に延長
相続直前の駆け込み贈与による節税対策の措置として、相続発生から3年以内の贈与について相続財産へ持ち戻す加算調整がありました。今回の改正趣旨である、贈与・相続で同一の税負担をめざし早期の資産移転を図る考え方から、持ち戻す年数が延長されます。結果的に、相続時の課税財産が増え増税となることが予想されます。延長の年数は諸外国を参考に検討されました。
(諸外国の加算対象年数)
イギリス 7年
韓国・ドイツ 10年
フランス 15年
アメリカ 生涯
生前贈与加算の対象
相続開始前7年以内の贈与ですが、4年から7年以内の贈与財産についてはその総額から100万円を控除した残額
適用時期
令和6年1月1日以降に贈与により取得した財産に係る相続税から順次適用
※過去7年分の加算が適用されるのは、令和13年1月1日以降分から