【 「経営者保証」制限 金融機関の説明義務が厳格化 】
2023/03/06お知らせ
中小企業が金融機関から融資を受ける際、経営者個人が会社の連帯保証人となる「経営者保証」について、実質的に制限することになりそうです。
本年4月から、金融機関は保証の必要性などの理由を具体的に説明しない限り、経営者保証を要求できなくなります。
金融庁は金融機関に対し、経営者保証に依存しない融資をどう進めるかについての取り組みを公表するよう要請していくとともに、定期的にヒアリングや検査を実施し、手続きの違反や企業とのトラブルに自主的な改善が期待できないと判断した場合には、行政処分を行うようです。
2021年度の中小企業向け新規融資で経営者保証を付けない割合は民間金融機関全体で、約30%、現実に経営者保証が原因で金融機関から融資を受けることに躊躇したり、新たなビジネス展開にブレーキがかかるケースがあると思われます。また中小企業で事業承継が進まない事態が社会問題化していますが、後継者が借金を背負うことに二の足を踏むほか、後継者の家族から反対があり、円滑な事業承継ができないというケースも少なくありません。
「経営者保証に関するガイドライン」によれば、保証契約の形式的な内容だけでなく、保証の法的効果と最悪の場合どのようなリスクがあるのか、きちんと説明しなければならないはずです。4月以降、金融機関は保証人に対して説明をした結果を書面やデータで保存することが求められます。
今後、金融機関はガイドラインに沿って融資の判断をすることになると思われます。
①法人と経営者の資産関係が明確に区分・分離されていること
②返済能力に問題のない財政基盤があること
③財務状況を適時適切に開示する経営の透明性を確保すること
上記、3点を満たした企業に対しては経営者保証を求めないよう金融機関に要請しています。
自己資本が十分でなかったり、役員貸付金が多額であったり、売掛金を回収しきれていないなど、問題を抱えている会社は融資を敬遠される事態になることも想定しなければなりません。