給与計算時の定額減税処理の確認事項
2024/04/22NEWS / お知らせ / 税務関係
定額減税とは、2023年10月の所信表明演説などで岸田首相より表明された政策です。令和6年6月以降、納税者本人と扶養家族を対象に所得税は3万円、住民税は1万円のあわせて1人あたり4万円を減税するものです。
減税方法は、会社から給与を受け取る給与所得者と個人事業主で異なりますが、今回は給与所得者の場合のみ確認します。
a)所得税に関して
令和6年6月以降の源泉徴収税額から、定額減税額が控除された状態で給与が支払われます。
b)個人住民税に関して
令和6年6月の住民税は特別徴収されません。令和6年7月~令和7年5月まで、減税額を差し引いた額で特別徴収され、給与が支払われます。
こちらの計算は、主に会社の給与計算を行う担当者が行うこととなります。6月からの給与計算において、注意すべき確認箇所を何点かご案内します。
①6月の給与計算までに従業員の家族が控除対象となるか確認
昨年末に回収した「扶養控除等申告書」や「配偶者控除等申告書」などから、従業員ごとの定額減税額を算出することが必要です。例えば、16歳未満の扶養親族については、年末調整では扶養控除の対象外ですが、定額減税では令和6年度の年収が103万円以下であれば、16歳未満の扶養親族も対象となるため注意が必要です。
②所得制限を超える人に対する定額減税
合計所得金額が 1,805 万円を超える方は定額減税の対象者ではありませんが、主たる給与の支払者のもとでは月次減税の適用を受けることになります。対象外の方については、年末調整で精算を行うことになりますが、主たる給与の支払者からの給与収入が 2,000 万円を超える人は年末調整の対象から外れるため、その人は確定申告で最終的な年間の所得税額と定額減税額との精算を行うこととなります。
③2ヶ所給与(乙欄)適用者
定額減税額は、主たる給与の支払者のもとでのみ控除されることになっているため、従たる給与の支払者のもとで控除されることはありません。
主たる給与の支払者のもとで控除しきれなかった減税額がある場合には、確定申告の際に控除しきれなかった金額を精算することになります。
④日雇賃金(丙欄)適用者
給与の支払者のもとで定額減税の適用を受けることはできませんが、令和6年分所得税について確定申告書を提出することによって定額減税の適用を受けることができます。
⑤令和6年6月2日以降に入社した方に対する定額減税
令和6年6月2日以後に入社した方については、月次減税の対象となる基準日在職者に該当しません。このような人のうち扶養控除等申告書を提出した人は、月次減税額の控除を受けることはできませんので、年末調整で定額減税額の控除(年調減税)を行うことになります。
このほかにも様々なケースがあるため、対象者の確認を早めに進めることが必要です。①で申し上げたように、年末調整時の書面では網羅的に対象者が確認できません。
新たな確認様式として国税庁のサイトに、「源泉徴収に係る定額減税のための申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書」が掲載されています。現在は様式案となっており、確定版については順次掲載されるようですが、まずはこちらを従業員の方へ配布していただくのが良いかもしれません。
いずれにせよ、経理担当の方の負担は増えることが必至のため、従業員の方への周知や事前の準備が不可欠です。
参考:定額減税 特設サイト|国税庁、
https://www.nta.go.jp/users/gensen/teigakugenzei/index.htm
定額減税のための申告書:様式・記載例|国税庁、
https://www.nta.go.jp/users/gensen/teigakugenzei/yoshiki.htm