
住宅取得等資金贈与の注意点
2025/05/19NEWS / お知らせ / 税務関係
住宅取得等資金贈与の非課税特例とは、子や孫に住宅用の家屋の新築、取得または増改築等のための金銭を贈与する場合に、一定の要件を満たす時は非課税限度額まで贈与税が非課税となる特例です。非課税となる限度額は、贈与を受けた人ごとに省エネ等住宅の場合には1,000万円まで、それ以外の住宅の場合には500万円までとなります。
お子様が住宅を取得される際に、資金援助をされるご両親も多いと思いますが、その贈与に非課税枠があるのは大きなメリットと言えます。しかし、こちらを利用するためには、要件が細かく定められているため、注意が必要です。
①子の配偶者に対する贈与
住宅取得等資金贈与の非課税特例は、贈与する人の直系卑属(贈与者は受贈者の直系尊属)にしか使うことができません。そのため、子の配偶者に贈与をしても、この特例は使えませんので注意が必要です。
②贈与のタイミング
特例の要件として、「贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすること」というものがあります。これは、取得する住宅が「注文戸建て住宅」なのか、「新築マンション、中古物件、戸建ての建売住宅」なのかにより異なります。
請負契約により戸建て住宅を新築する場合は、翌年3月15日までに完成引渡しまで済んでいなくても、屋根(骨組みを含む)があり土地に定着した建造物として認められる状態であれば取得と認められます。
一方で、売買契約により新築マンション、中古物件、戸建ての建売住宅を購入する場合は、贈与を受けた年の翌年3月15日までに完成引渡しを受けていないと取得とは認められません。
特に新築マンションは、売買契約日と引渡日までの期間が非常に長くなりますので、贈与のタイミングに注意が必要です。
③贈与を受けた年の合計所得
非課税特例には、「贈与を受けた年の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下(新築等をする住宅用の家屋の床面積が40㎡以上50㎡未満の場合は、1,000万円以下)であること」という要件があります。自分の給与からみて2,000万円は超えないだろうと思っていても、例えば、今住んでいる自宅を売却し親からの贈与を受けて新たに家を買う場合、自宅の売却益が多く出れば所得が大きくなる可能性があります。
自宅を売却して譲渡所得が発生する見込みがある方は、売却と贈与のスケジュールに注意が必要です。
住宅取得等資金贈与の非課税特例は、贈与を受けた金額が非課税額の範囲内だったとしても、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに必ず申告をしなければいけません。
制度のご利用についてお考えの際は、専門家にご相談ください。
国税庁、直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税|国税庁
国税庁、「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし0024005-031_01.pdf