
【相続対策より認知症対策】
2025/06/02NEWS / お知らせ / 税務関係
超高齢化社会の日本は総人口が減少する中、65歳以上人口は3625万人で総人口に占める割合は29.3%と過去最高です。(令和6年9月総務省統計データ)
そのうち約5人に1人が認知症を患っていると言われ、2025年には団塊世代が75歳以上となります。
申し上げたいのは「相続対策よりも、認知症対策の方が緊急度が高い」という事です。
認知症の症状があるかの線引きは、医師の診断書、介護施設の介護記録、介護をしていた家族の証言等から総合的に判断されます。
認知症を発症したら、相続対策はできなくなると考えてください。
(原則:意思能力のない中で行われた法律行為、遺言書を書く、生前贈与をする、所有不動産の売却などは、すべて無効で、法的効力を持ちません。)
例えば不動産の所有者Aさんが認知症になった場合、家族が代わりにその不動産を売却することはできるのでしょうか?
その物件の所有権はAさんが持っています。
財産を売却することを決められるのは、所有権を持った人だけです。
たとえ親族であっても勝手に売却することはできません。
不動産にまつわる法律基礎知識 所有権とは?
不動産の所有者には、所有権という権利があり、この所有権はさらに2つの権利に分けることができます。
①管理権…不動産を修繕、建て替え、売却することを決めることができる権利。
②受益権…不動産から得られる家賃、売却代金をもらうことができる権利。
所有権のうち、①管理権だけを信頼できる家族に託すという契約(家族信託)を結ぶことで、親族が物件を売却することが可能となります。
(②受益権はそのまま所有者Aさんが受けるかたちになります。)
家族信託は、後見制度の良いところだけを抽出した、使い勝手の良い認知症の備えとして
非常に注目されています。
(注意!家族信託をした場合は空き家特例(売却時3000万円控除)の適用ができない場合がございますので、ご留意ください。)
<参考資料>