上場株式等の配当所得や特定口座内(源泉徴収あり)の譲渡所得等について、所得税と個人住民税とで異なる課税方式を選択できることをご存じでしょうか?
上場株式等の譲渡損失がある場合、申告分離課税の選択により配当所得との損益通算の税務メリットがありますが、個人事業主等の国民健康保険への影響を踏まえると、個人住民税については申告不要制度を選択することで保険料を圧縮できるメリットもあります。
上場株式等の配当所得の課税方式は、以下の3つ。
①総合課税
②申告分離課税
③申告不要制度
源泉ありの特定口座内の譲渡所得等の課税方式は②・③があり、平成29年度の地方税法の改正により、所得税と個人住民税とで異なる課税方式を選択できることになりました。
その場合、所得税の確定申告書には、特段、その旨を記載する必要はなく、個人住民税については「納税通知書の送達日(おおむね5月下旬頃)」までに、各地方自治体に対して、個人住民税の申告書を提出することになります。(「上場株式等の所得に関する住民税申告不要等申出書」など自治体により提出書類は異なります。)
では、税務上の有利な選択は・・・
所得税の総合課税に係る上場株式の配当控除率が課税総所得金額1,000万円以下の場合には「10%」であること等から考えますと
■課税総所得金額が1,000万円以下の場合(上場株式等の譲渡損失なしのケース)
所得税は「総合課税」・個人住民税は「申告分離課税又は申告不要制度」
■課税総所得金額が1,000万円超の場合
所得税・個人住民税ともに「申告分離課税又は申告不要制度」(所得税率等15.315%・個人住民税率5%)
また、個人事業主等の国民健康保険料の観点からは、上場株式等の譲渡損失があり、その損失を上回る所得のある場合には、所得税は「申告分離課税」を選択して配当所得等と損益通算し、個人住民税については「申告不要制度」を選択して国民健康保険料の負担を軽減することができます。
<参考リンク>
特定配当等に係る所得及び特定株式等譲渡所得金額に係る所得の課税方式の選択について
http://www.city.kyoto.lg.jp/gyozai/page/0000232141.html