―相続について考える―「借金の返済請求に応じる義務ある?」
2018/11/26税務関係
Q借金を相続しなかった相続人が銀行からの返済請求に応じる義務が発生するのでしょうか?
銀行からの借入金などの債務は、相続開始の時点ですべての相続人が相続分に応じて自動的に相続する
ことになっているため、全相続人が負担する義務を負います。
すなわち銀行は、遺産分割協議によって債務を相続する人が決まっていたとしても、他の相続人から債権を回収できます。
ただし、遺産分割協議で債務の引き受け手を決めることは無意味ではありません。
引き受け手以外の人に債権者から請求がきたら
法定相続分を債権者へ支払い、その後に債務の引き受け手にその立替分の返還を請求します。
このルールは、債権者保護の立場から銀行などの債権者が著しく不利な立場になってしまうおそれがあるため設けられていて、借金に関する分割協議の取り決めを銀行などの債権者にも遵守させるとなると、相続人同士の話し合いで支払い能力のない相続人に借金を全て押し付けてしまうことになるからです。
現実問題、親族である債務の引き受け手に返還請求をしても、財産を超える借金があるようなケースでは、全額が回収できないことが想定されます。事業をされていた方などの場合、多額の借金があることを認識できるのであれば、相続発生時に「相続放棄」「限定承認」という法的手続きを検討する必要があるのではないでしょうか。
<参考リンク>
■国税庁HP 相続人の範囲と法定相続分
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4132.htm