京都むらさきの総合税理士法人

instagram
075-417-2117
受付時間:平日9:00〜17:30
ニュース

NEWS
ニュース

不動産リスクを知る 生産緑地の2022年問題

2019/02/25税務関係

わが国の人口は、2015年以来減少し、現在の人が住んでいる地域の約2割が将来的に無居住化すると予想されています。

これを受け全国の各自治体が、都市の居住地域を集約して定め直す「立地適正化計画」を相次いで策定しており、これにより居住地域外となる土地建物の価格下落が懸念されています。

また、都市部に残る緑地を保全するために市区町村が指定した農地等を「生産緑地」といいますが、その多くが2022年以降に解除可能となることから、後継者不足等を理由として相次いで解除が行われ、市場に宅地が大量供給される結果、不動産価格が低落するのではないかと危惧されています。(国土交通省都市計画現況調査2016年3月31日現在の調べ:京都市は生産緑地の多い都市ランキング第1位)

 

生産緑地のメリット○とデメリット×

 ○固定資産税が農地課税となり大幅に減免

 ○相続税の評価減

 ○相続税納税猶予制度の適用

 ×土地所有者に農地としての管理義務

 ×営農に関係のない建築物の建築、宅地造成ができない

 

 また、生産緑地の指定解除理由は下記のいずれかを満たした場合のみです。

 1.指定告示日から30年が経過したとき

 2.主たる従業者(その土地の農業経営の中心となる者)が死亡したとき

 3.主たる従業者が何らかの故障によって農業等に従事することが困難になったとき

 

2017年4月、生産緑地法が改正され、「特定生産緑地制度」が新設されました。

この制度は、指定から30年を経過する生産緑地について、利害関係者の同意のもと、市区町村により新たに「特定生産緑地」の指定を受ければ解除申請できる時期が10年延長されるものです。(その10年を経過する前に指定の更新を受ければ、更に10年延びます。)

また、今年3月に成立した税制改正によれば、特定生産緑地の指定または指定の更新を受けない場合、現に相続税納税猶予を受けている農業相続人に限り猶予が継続され、新たな農業相続人は納税猶予を利用することはできません。

では生産緑地所有者はどうすれば良いのでしょうか?

【営農継続意思があるもしくは農業後継者がいる方】

2022年を迎える前に特定生産緑地の指定を受けるべきでしょう。

【営農継続意思がなく、かつ農業後継者もいない方】

解除も視野に入りますが・・・

相続税納税猶予を受けている場合、解除時点での猶予期間の長短によって納税負担額が異なるため、それにより特定生産緑地の指定を受けるかどうかを検討すべきでしょう。

相続税納税猶予を受けていない場合、特定生産緑地の指定を受けず、主たる従事者が寝たきりであるなど故障理由に該当すれば、2022年を待たずして生産緑地を解除することも選択肢としてあります。

立地適正化計画と生産緑地は、不動産価格に深刻な影響を及ぼすため、不動産を所有されておられる方においても大きな問題と言えるでしょう。

まずは、所有不動産の現状把握をしておく必要があるものと考えます。

 

<参考リンク>

■国税庁HP 農業相続人が農地等を相続した場合の納税猶予の特例

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4147.htm

■一般社団法人京都府農業会議HP 生産緑地法の一部改正チラシ 

http://www.agr-k.or.jp/noukai/news/seisanryokuchi.pdf#search

■国土交通省 立地適正化計画制度

http://www.mlit.go.jp/en/toshi/city_plan/compactcity_network.html