相続税対策―配偶者居住権―
2020/03/30NEWS / 税務関係
2018年に成立した改正民法の柱である「配偶者居住権」が今年4月に施行されます。
これまでの法律では、遺産分割協議で配偶者が自宅を相続するとそれだけで法定相続分を満たしてしまい、預貯金といった他の相続財産を十分に取得できない可能性がありました。
逆に預貯金を相続すると家を失うことになってしまい、どちらにせよ生活は不安定にならざるを得なかったのですが、改正民法では、所有者が他者にあっても配偶者が住み続けることができるように、家の価値を「所有権」と「居住権」に切り離し、配偶者はそのうち居住権のみを得れば家に住み続けられるという「配偶者居住権」を創設しました。
すなわち、配偶者居住権とは「相続が発生する前から住んでいた配偶者の自宅は、配偶者がその自宅の権利を相続しなかったとしても、ずっと住んでていいですよ」というものです。
①所有権という権利を「住む権利」と「その他の権利」に分けて、別々の人が相続をすることを認めるもので、配偶者には「住む権利」を、その他の相続人には「その他の権利」を相続させることが可能です。
②配偶者居住権は、相続発生した時点で、その自宅に住んでいた配偶者にだけ認められ、かつ、配偶者居住権の登記が必要になります。(建物だけに登記がされて、土地には登記されません。)
③配偶者居住権は売却できません。配偶者の死亡によって消滅するため、相続させることもできません。課税は発生しません。
ただし、配偶者が住まなくなった場合には所有者への譲渡や贈与となりますのでご注意ください。
2020年4月1日以後に開始する相続において適用され、同日以後に作成する遺言書において、配偶者居住権を記載することが可能になります。