
みなし贈与に注意
2025/02/03NEWS / 税務関係
通常、贈与とは、相手に無償で財産をあげることを指し、当事者双方の「あげます」「もらいます」という意思の合意によって成立します。税法ではそれ以外に、合意がなくても実質的に贈与があったとみなされる「みなし贈与」が存在します。
年間110万円までの贈与であれば贈与税は発生しませんが、気付かないうちに「みなし贈与」があった場合、合計額で110万円を上回り、課税されてしまう可能性があります。
「みなし贈与」には以下のようなものがあります。
①生命保険の満期保険金
保険料を支払う契約者と保険金の受取人が異なっていると、満期保険金や解約返戻金に贈与税がかかることになります。例えば、夫が生命保険に加入し、満期保険金の受取人を妻にしていた場合、そのまま満期を迎え妻が保険金を受け取ると、妻に贈与税が課されてしまうこととなります。
これを回避するためには、満期を迎える前に受取人を保険料の負担者である夫に変更しておく必要があります。受け取った保険金は、夫の一時所得となり所得税が課されます。しかし課税対象となるのは、受け取った保険金から支払った保険料を差し引き、特別控除額50万円を差し引いた額の2分の1であるため、一般的に贈与税と比べて税負担を軽くすることができます。
②財産の低額譲渡
不動産や株式などの財産を著しく低い価額で譲渡した場合も、みなし贈与と判定される場合があります。例えば、親が子に時価より低額で土地を譲渡する場合です。著しく低いかどうかは、財産の種類や性質、取引の実情をもとに判断され、土地の譲渡については時価の80%を下回るとみなし贈与とされる恐れがあります。
③親子間の金銭の貸し借り
親子間で金銭の貸し借りをした場合も、みなし贈与と判断されることがあります。例えば、親が子に金銭を貸し付けたものの、「お金がある時に返して」などの口約束のみで、借用書などの契約書も作成していなかった場合です。この時、子の返済が滞ると「借金」ではなく「贈与」とみなされ、みなし贈与と判定されることがあります。
気づいていなかった「みなし贈与」を後から指摘されることのないよう、資産の移転などは慎重に行う必要があります。贈与についてお悩みの際は、お気軽にお問い合わせください。