

【相続人の判定 誰に相続権があるのか?】
2025/11/24NEWS / 税務関係
相続が発生した場合、亡くなった方(被相続人)の遺産は誰に受け取る権利があるのでしょう。
相続人の範囲の知識がなければ、誰がいくらの遺産を相続できるか知ることができません。
◆相続人の範囲
人が亡くなったときに所有する財産や借金は相続人に引き継がれます。
財産を引き継ぐ相続人は、民法により定められており、その範囲は民法上第3順位までとされ、内縁の妻や同性のパートナー等、どんなに身近な人であっても相続人にはなりません。
大原則:配偶者は必ず相続人
[第1順位] 子供、代襲者である孫・ひ孫・養子
[第2順位] 父母(父母が亡くなっている場合には祖父母)
[第3順位] 兄弟姉妹
相続人に該当するかどうかは、第1順位⇒第2順位⇒第3順位の順番で確認します。
実際に相続人の範囲を調べる具体的な方法は、亡くなった本人の戸籍を出生まで遡って取得することです。(実は養子縁組していた、離婚して前妻の子がいた等の情報が分かります。)
養子は相続人〇
①普通養子:実親との親子関係を継続した状態で、養親の子になる。
実親と養親の双方の子として相続人になります。
②特別養子:実親との関係は消滅し、養親の子として相続人になります。
戸籍上、「養父・養母」のみの記載で、実親である「父・母」の記載がなければ、②特別養子であると判断できます。
隠し子は認知の有無△
「婚姻関係にない男女間に生まれた子」は認知している場合、相続人になります。認知されていなければ、戸籍上には何も記載がなく、仮に血の繋がった父親がいても、相続人に該当しないため、その子には相続権はありません。(認知は父親が生きている間に役所に届出を行わないと成立しません。)なお、結婚して子が生まれ、その後に離婚した場合には、婚姻期間に生まれているので、認知の有無に関わらず当然に子として相続人になります。
胎児は相続人〇
夫が不幸にも事故や病気等で亡くなった際、お腹の中に胎児がいる場合、胎児であっても相続人となります。
ただし、不幸にも死産であったような場合には、もともと相続人では無かったたものと考えます。
①胎児が産まれてきた場合の相続人:妻と子
②胎児が死産した場合の相続人:妻と第2順位(夫の父か母、いなければ第3順位の夫の兄弟姉妹)の立場の人
では、もし亡くなった方(被相続人)が遺言書を残していた場合には遺言書の内容と法定相続分のどちらが優先されるのでしょうか。
答えは、遺言書です。
ただし、遺留分を侵害される内容の遺言書の場合、所定の手続きにより請求することで遺留分を取り戻すことができます。
<参考資料>◆No.4132 相続人の範囲と法定相続分|国税庁◆法定相続人(範囲・順位・法定相続分・遺留分)|法務局◆遺留分侵害額の請求調停 | 裁判所
筆者:京都むらさきの総合税理士法人 監査担当 大江準一