

相続直前マンション購入に関する相続税評価の見直しについて
2025/12/08NEWS / 税務関係
2024年に区分所有マンションの相続税評価方法が見直されましたが、依然として「1棟マンションの購入」や「不動産小口化商品の取得」は対象外となっており、一部では相続直前に不動産を購入して相続税を減らすスキームが利用されていました。
こうした状況を受け、2025年11月26日に開かれた自民党の税制調査会では、新たな改正案が提示されました。
【改正案のポイント】
・ 相続直前に取得した投資用マンションは「購入価格ベース」で相続税評価へ
・小口化商品にされた不動産は取引事例などをもとに算定
土地は時価の約8割とされる路線価で評価されるため、マンション購入により“相続税評価額を圧縮する”ことが可能でした。
改正案では、相続開始前5年以内に取得した不動産は、購入価格を基準に相続税評価を行う方向で検討されています。
【適用対象と方向性】
・相続開始前5年以内に取得した投資用不動産 が対象です。
(1棟マンションや不動産小口化商品を含めた他人に賃貸している物件すべて)
・目的は、あくまで「相続直前の取得による節税」を排除するもので、すべての投資用不動産が対象となるわけではありません。
【背景にある動き】
近年、過度な節税スキームに対しては、制度改正の対象や総則6項(租税回避否認)が適用されるケースが増加しています。
そのため、相続税対策として不動産を活用する場合は、税務リスクと実質性を踏まえた慎重な検討がこれまで以上に必要となっています。
現時点では改正案が提示されただけですが、今後の動きを注視していく必要がありそうです。
社員税理士 前田哲志