国税庁発表の平成30事務年度における所得税調査の実地件数は72,953件です。このうち申告漏れ等の非違があった件数は60,964件です。その割合は約83.5%となります。
所得税、つまり個人の実調率は約1%程度です。個人は法人と比較すると実地での税務調査を受ける確率は低いといえますが、大きな取引や譲渡があったときには、対象となる心づもりが大切です。
重点調査対象となっているのは下記のような場合があげられます。
その時の社会情勢により調査対象には傾向があるようです。
近年では海外への投資、不動産の売買など多額のお金が動いたケースや、ネットに関する多額の収入があったケースなどが散見されます。
また無申告の場合でも、取引先に税務調査が入ることにより調査対象に選定されることがあり、現金商売でも消耗品などの反面調査により追徴課税を求められる可能性があります。
税務調査の際には売上や仕入など金額の大きい項目は当然ながら、個人的な支出が事業の経費になっていないかどうか、プライベートで使っている携帯電話の通信料、雑貨、飲食代、交通費や宿泊費が経費計上されていないかなども調査のポイントとなります。
また、個人調査の特徴として譲渡所得の計算に居住用の特例を使った場合には、特に留意する必要があります。
帳簿や領収書等は確定申告の際に提出するわけではありませんが、提出する申告書の計算根拠となりますので、7年間は保存する義務があります。調査等で開示を求められた際にすぐ提示できるよう、整理し、保管しておくことが大切です。