国税庁発表の平成30 事務年度における相続税調査の実地件数は12,463 件でした。
相続税の申告件数は105,880 件でしたので、実調率は11.8%となります。
実地件数のうち過少申告などの非違件数は10,684 件で、割合として85.7%となります。
つまり、相続税の調査があった場合には10 件中8 件以上が何らかの指摘を受け、修正申告を求められるということです。
申告漏れ財産(金額の多い順)
●現金・預貯金
●土地
●有価証券
●家屋
申告漏れ相続財産の金額がもっとも多いのは、意外に思う方もいるかもしれませんが、現金・預貯金です。
金額は1,268 億円で、次に多い土地の約3 倍となっています。
なぜ現預金の申告漏れが多いのでしょうか。
それは名義預金(名義は被相続人以外であるが、実質的に管理支配しているのは被相続人であるという預金)が被相続人の財産となることを認識していなかったり、そもそも被相続人が持っていた口座を知らなかったりすることが原因であったりします。
知らなかったと主張しても調査官は見逃してくれません。
また、悪質な申告除外と認識されれば、おおきなペナルティである重加算税の対象となることもあります。
預金では過去の入出金の動きについても調査されます。不明瞭なお金の動きがあれば、貸付金などとして課税対象とされることもあります。相続開始からさかのぼって過去10 年間の取引は、きちんと内容を説明できるよう準備して
おくと、安心して調査に臨むことができるでしょう。